社会保障と税の一体改革の政府案が昨日やっとのことでまとまりましたが、肝心の消費税率引き上げ時期は2015年までとはしないで、10年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げ、当面の社会保障改革の安定財源を確保するということになりました。
しかし、閣議決定も先送りすることになり、これでは与野党協議なんてできるわけがありません。
肝心の年金改革についてですが、民主党がマニフェストで約束した社会保険方式による所得比例年金と、税財源で賄う最低保障年金を組み合わせた新しい年金制度に取り組むことは盛り込まれましたが、具体的な制度設計は先送りされて何が何だか分からなくなってしまいました。
これから先考えられていることは、高齢者の給付見直し、非正規労働者の厚生年金加入拡大、第3号被保険者制度の見直し、被用者年金の一元化、支給開始年齢の引き上げ、最低加入期間の短縮、などがありますが、高所得者の年金減額や、第3号被保険者の廃止や、年金支給開始年齢の引き上げ、最低加入期間の短縮などは反対意見も多く大問題となることでしょう。
最低保障機能を強化するために年金は年収65万円未満の高齢者に月額1万6000円を上乗せすることは納得がいきますが、線引きをするには不公平にならないようにするという厄介な問題があります。
とにかく年金改革というものは一筋縄ではできないことで、やるとすればある程度長期間の準備が必要であります。それともう一つ大事なことは、国民に不公平感を与えてはならないということであります。
改革を決行する場合には十分な準備と国民に対しての周知徹底がなされなければなりません。